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弁護士の選び方(鹿児島編)

弁護士を選ぶとき、あなたはどのような基準で選ぶでしょうか。専門性、経験年数、事務所の大小、立地、相性、評判などでしょうか。ここでは主に、鹿児島県において、知り合いと言える弁護士がいないという人を念頭に置きながら、どういう基準で選ぶのが賢いのか、当事者である弁護士の目線で説明します。

 

 

1.鹿児島の弁護士の数

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選び方の説明に入る前に、鹿児島県の弁護士の実情を解説しておきましょう。あなたは、鹿児島県に弁護士が何人いるか知っていますか?鹿児島県弁護士会の会員紹介ページ(http://www.kben.jp/member/)によると、平成28年1月1日現在で、198名が鹿児島県弁護士会に所属しています。これが約13年前の平成15年1月1日現在で言うと、当時83名が登録していましたので、この間に約2.4 倍に増えたことになります。

 

他方で、鹿児島県によると、平成27年11月1日現在の推計人口が約165万7000人となっていますので、鹿児島県民約8370人に対し1人の弁護士がいることになります。ちなみに、平成27年の年末ジャンボ宝くじ4等(5万円)が当たる確率が10,000分の1 です。

 

従って、あなたが鹿児島県民を一人捕まえて、その人が弁護士である確率と、宝くじを1枚買って、5万円が当たる確率は、大体同じと言うことになります。あなたの周りに宝くじで5万円以上を当てた人がどれだけいますか?きっとかなり少ないはず。鹿児島県内にある事務所の数でいうと、人数の半分、約100事務所があります。そうすると、県民の多くの方が、知り合いに弁護士がいないとなるのも頷けます。

 

さらに、法律事務所のうち、75%は鹿児島市内に事務所を構えています(そのうち8事務所だけが支所を他の市町村に置いています)。鹿児島県全体の人口に対する鹿児島市の人口がおよそ36%なので、地方の人にとって、弁護士は更に更に縁遠い存在になっていると言えそうです。とは言え、200人ほどの弁護士がいるのですから、皆さんには是非、ご自身に合った適切な弁護士を選んでほしいものです。  

 

 

2.弁護士の専門性について

biz弁護士を探そうとしている人にとって、その弁護士の「専門」が何なのか非常に関心があるところではないでしょうか。お医者さんに内科や外科などの専門分野があるように、弁護士にも「相続」とか「離婚」とか専門分野があるのか・・・というと、それはないと言って良いと思います。むしろ、日弁連は、個々の弁護士や法律事務所が「専門性」を謳うのは誤導の恐れがあるので望ましくないとしています。

 

 

取り扱っている業務の実態としても、東京や大阪などの大都市に、専ら同種の事件のみを扱う法律事務所がいくつかあるかもしれませんが、少なくとも鹿児島で同種事件“のみ”を扱う“専門的”な弁護士はいないと言って良いでしょう。ほとんどの弁護士が幅広い分野を扱うというのが実態です。

 

そういうわけで、例えば鹿児島県弁護士会に電話をして、「○○に強い弁護士を紹介してください」と言っても、「△△弁護士が○○に強いです。」とは紹介してくれません。その代わりにこういう返答が来るでしょう。「市民からの問合せに対して、『紹介しても良いよ』と承諾した弁護士の名簿が1つあります。その中から数人の弁護士の連絡先を教えますので、それぞれの事務所に連絡を取って相談の予約を入れてください」と。

 

“専門”とは表現しないとしても、それぞれの弁護士が力を入れている分野、好きな分野、比較的得意とする分野というのはあります。その場合、各法律事務所のホームページ等に“取扱業務”、“取扱案件”、“取扱分野”などの名称で表示されています。これらの表示が各法律事務所の自己申告だということは頭に置いておいて下さい。

 

 

3.経験年数について

99c4b98b6eee2682d51d8bdd5cae2b1d_s弁護士を選ぶ際に経験年数を考慮する人は少なくないのではないでしょうか。多くの人は、経験年数が豊富な方がいいと考えるでしょう。どんな職業でもそうですが、「一人前と言えるためには○○年は必要」などのコメントをよくテレビなどで耳にしますね。確かに、経験豊富な弁護士の方が、経験の浅い弁護士に比べて事件の見通しが鋭いと言えるかも知れません。また、依頼者からの目線では、安心感がある、説得力があるという気持ちに結びつくかも知れません。

 

ただ、「経験」というのは別な言い方をするなら「先入観」になります。経験年数の浅い弁護士の方が、先入観を持たずに果敢に事件に挑むという傾向があるというのも事実ではないかと思います。ちなみに、裁判等で若い弁護士が年輩の弁護士に遠慮して負けるなんてことを心配する人が、もしかしたらいるかも知れませんが、私が知る限りそういう場面は全くありません。むしろ、裁判等で出される書面を見ると、若い弁護士の方がかなりアグレッシブな文章を書いていたりするものです。

 

ところで、重要なのは経験「年数」ではなく、経験の「中身」だと言うべきでしょうが、その中身を比較する手段がほとんどない現状では、あまり中身、中身といっても意味がないでしょう。では、弁護士の経験年数を知るにはどうしたらいいでしょうか?率直に、相談しようとする弁護士に聞いてみるのも一つの手です。経験年数を聞かれて嫌がる弁護士がいたら、相談は止めた方がいいかもしれません。それは自信のなさの表れかもしれませんから。

 

相談をする前に知りたいと言う場合、その弁護士が所属する法律事務所のホームページを見るのが手っ取り早いと思いますが、もしホームページがない場合は、日弁連のひまわりサーチを利用するとある程度の経験年数が分かります。若干面倒ではありますが、検索したい弁護士の氏名、所属弁護士会等を入力して検索ボタンを押してください。目当ての弁護士の登録番号というのが分かると思います。弁護士は必ず1つの登録番号を持っています。但し、裁判官や検察官を辞めて弁護士になると、弁護士としては経験年数が短い(登録番号が大きい)が法律家としてはそれなりの年数を積んでいる人ということになるので、この点は注意が必要です。


平成28年1月現在で、経験年数と登録番号の関係は大まかに以下のようになります。
5万番代なら1,2年目
4万番代後半なら2~4年目
4万番代前半なら4~6年目
3万番代後半なら6~8年目
3万番代前半なら9~13年目

 

※経験15年以上を細かく区別する人はほとんどいないと思われますので以下省略

 

このように、登録番号から経験年数を推測することができるのですが、推測できたとしても、経験年数豊富な弁護士を見つけて依頼するのが困難な事情が一つあります。それは、鹿児島県に限らず、弁護士の経験年数の構成にはかなり偏りがあるということです。ここ十年程で新たな弁護士が激増していることから分かるように、経験年数の比較的短い弁護士が多くなっているのが実情なのです。

 

鹿児島県では、経験年数5年未満の弁護士が約70人おり、4割近くを占めています。また、弁護士経験年数10年未満となると約6割を占めることになります。こうして数字で見る限り、若い弁護士を探したいという人にはラッキーな状況でしょうが、ベテランの弁護士を探したい人には不運な状況と言えそうです。

 

 

4.他業種との垣根について

34e776df81dcfe99c4d15d063f9e63b9_s行政書士、司法書士、弁護士の違い・区別が付かないという人も意外と多いのが実情でしょう。扱える業務の広さから行くと弁護士>司法書士>行政書士となります。それぞれの資格がどのような業務を行えるかは法律で定められていますが、それほど事細かく規定されていませんし、現にお互いの業務範囲が重なるグレーゾーンがあるため区別が難しい案件も少なくありません。そこで、ここではその細かな差違には踏み込みません。これらの業務の区別に詳しくない人が、どの士業に頼めばいいかの実際的でおおまかな基準を紹介するにとどめます。

 

まず、弁護士は、司法書士と行政書士が扱える業務のほとんど全てをカバーできます。そこで、司法書士が得意とする登記手続や、行政書士が得意とする官公庁へ提出する書類の作成なども「法律上」は扱えることになっています。但し、カバーできるというのは法律上扱う資格があるというだけで、実際に扱っているかどうかは別問題です。

 

鹿児島の弁護士の実情からすると、司法書士が得意とする登記業務を弁護士自身が行っているというケースはほとんどないと思われます。ほとんどの法律事務所は、依頼者の事件処理のために登記の必要がある場合には、事務所に専属する司法書士に担当させるか、あるいは懇意にしている司法書士を紹介しているでしょう。ほとんどの弁護士が、誰かしら紹介できる司法書士を知っているのが現状ですので、登記が必要ならば「司法書士を紹介してくれ」とお願いすると良いでしょう。

 

また、行政書士が得意とする官公署に提出する書類の作成については、純粋にそれだけが問題となるケースについて弁護士が仕事を受けることはまれだと思われます。

 

次に、司法書士は、2つのタイプに分ける必要があるでしょう。それは認定司法書士とそうでない司法書士です。違いは、単なる司法書士が登記等の事務だけを行うのに対し、「認定」司法書士は、登記等の事務に加えて、簡易裁判所管轄の民事事件を扱うことができる点です。この点で、認定司法書士は、弁護士に近い資格と言えるでしょう。認定司法書士は、このように一部の訴訟代理行為を行うことができますが、これに付随する示談交渉もできることになります。なお、簡易裁判所管轄の民事事件とは、具体的には140万円以下の事件ですので、140万円の慰謝料請求とか、140万円の売買代金請求などは認定司法書士でも裁判で代理人をしたり、示談交渉をすることができるということになります。

 

最後に行政書士は、官公庁に提出する書類の作成が主な業務です。例えば、営業許可申請手続書類や建設業許可申請手続書類などの作成です。その他に、遺言書、内容証明郵便等による解除通知などの書類作成も扱っているのが通常でしょう。但し、行政書士の職務に紛争処理は含まれませんので、争いが生じている案件でこれらの書面を作成するのはその職務の範囲外ということになります。また、示談交渉等の代理人に就くこともできません。そして、行政書士は登記手続を代行することはできません。これは司法書士の職務です(法律上は一応弁護士も扱える)。

 

結論として、次のような基準でどの専門士に依頼するかを判断すると良いでしょう。

当事者間に何か争いがる場面→ 弁護士か認定司法書士へ

登記→ 司法書士へ

紛争のない書類の作成→ 行政書士へ

 

ところで、業務が重なる分野で、掛かる費用が弁護士>司法書士>行政書士となると思われがちですが、必ずしもそうは限らないのでご注意ください。例えば、最近は皆さんも馴染みの言葉となった「過払金」の返還に関して、一般的に弁護士が請求する額の1.5 倍あるいは2 倍の報酬を請求している認定司法書士がいた例もあります。また、貸金業者から借り入れた債務の整理という本来扱えない業務について、50万円という多額の着手金を受け取った行政書士の例もあります(鹿児島の例ではありません)。事前にいくら掛かるか見積もりを取る、あるいはインターネット等を使って各専門士業の相場を調べることをお勧めします。

 

 

5.事務所の大小について

f977821445cd720844460718774e94b1_s鹿児島県にある法律事務所で弁護士5人以上を抱える事務所は4つしかないため(平成28年1月現在)、大きな事務所が良いという依頼者には良い環境とは言えません。ただ、そもそも、事務所が大きいか小さいかを弁護士選びの基準にしている人は、それ程多くないかも知れません。実際、あまり合理的な基準とは言えないので、その点を解説しておきます。

 

 

例えば、大病院と個人医院では持っている設備が違うので、大病院でしかできない治療や検査もあるでしょう。しかし、弁護士事務所の場合、仕事の中身に影響する設備の差はほとんどありません。問題は、担当する弁護士の技量や依頼者との相性になります。

 

では、大きな弁護士事務所なら複数の弁護士が事件を処理してくれるので、一人の弁護士が処理するより質の高いサービスが受けられるという見方はどうでしょうか。これについても、少なくとも、鹿児島の法律事務所ではそのような期待はほとんど意味がありません。かなり特殊な案件、大型の案件でない限り、複数の弁護士が協議しながら事件処理を進めていくというのは通常ではないというのが実情です。あるとすれば、経験年数の浅い弁護士が一人で処理するのが適切でない場合に、上司の弁護士が指導しながら処理していくケースになるでしょう。

 

共同作業があまりないというのには理由があります。弁護士の仕事は、共同作業がやりにく仕事だからです。あるいは共同作業が苦手な弁護士が多いと言っても良いと思います。想像してみてください、テレビ番組「行列のできる法律相談所」で4人の弁護士が意見が分かれるケースが大半だと思いますが、あの弁護士軍団が同一の事件を処理したとしたら混乱すると思いませんか?一審で負けても二審でひっくり返ることもあるように、裁判官によっても判断が異なるのですから、弁護士によって意見が異なるというのは当たり前なのです。依頼者にとっては、意見の違う複数の弁護士が寄り集まって折衷案的な方向に向かって事件を進めるよりも、依頼者自身の考えに同調してくれる弁護士を見つけて、その方向で一生懸命活動してくれる方が頼もしいと感じるのではないでしょうか。

 

ちなみに、大きな事務所には多数の弁護士を抱えるだけの事件が集まってくるということなので、そこの“代表弁護士は人気がある”ということは言えるかもしれません。代表弁護士の人気の秘密がどこにあるかは、それぞれの弁護士によって違うでしょう。一つ注意しなければならないのは、代表弁護士が人気だからといって、その事務所に依頼すればその弁護士に担当してもらえるかどうかは別の話ということ。やはり、自分を担当してくれる弁護士が自分の求める弁護士と言えるかどうかが大事でしょう。

 

 

6.立地について

bill依頼者にしてみれば、相談や打合せのために法律事務所を訪れるのに、その事務所が近い方が良いはず。ただ、近くにいる弁護士がその人にとって最適な弁護士とも限らないでしょう。特に、地方に居住している人にとっては、弁護士事務所の75%が鹿児島市に集中している現状では、選択肢が極めて少なくなると思って間違い無いでしょう。

 

 

 

弁護士と依頼者との打合せ、相談は、電話やスカイプなどのビデオ通話等を利用すれば遠隔地でも可能ではあります。ただ、資料を示しながら話をしたり、表情から会話の趣旨を捉えたり、あるいはお互いの信頼関係を作るという観点から、直接会って相談・打合せを行うことが基本とされるべきです。この観点からは、打合せ・相談に通える程度の地理的な近さというは極めて大事だと言うことができるでしょう。

 

事務所の立地は、費用にも関係してくることがあります。まず、裁判をする必要がある場合、その事件を取り扱うことができる裁判所が決まっているため(管轄といいます)、それによってどこの地域の弁護士に依頼するのがいいかという判断も異なってきます。

 

例えば、鹿児島市内の弁護士が地方の裁判所(鹿屋や川内など)に出廷する場合、一般に1回当たり1~3万円(額は行き先によっても、事務所によっても異なります)の日当を別途請求されると思われます。鹿児島の弁護士が東京の裁判所に出廷しなければならない場合、更に多くの日当が掛かるでしょう。地元の弁護士であれば、そのような費用が掛からずに済みます。但し、裁判は電話会議で進行することも多く、鹿児島の弁護士が東京の裁判所の裁判に毎回出廷しなければならないわけでもありません。問題になっている事案で、どの程度出廷の必要が出てくるかは、相談した弁護士に意見を聞いてみて下さい。

 

もう一つ、費用との関係では、一般に都会の法律事務所の方が、地方の法律事務所に依頼する場合に比べて着手金や成功報酬の額が高くなる傾向があります。県をまたぐような事案の場合はこの点も注意しておきたいところです。なお、鹿児島県内の法律事務所に関して言うと、鹿児島市内より地方の事務所の方が安いかと言うと、ほとんどそのような傾向はないというのが印象です。

 

 

 

 

7.相性について

相性依頼者にとって、弁護士との相性は最も大事な要素と言えるかもしれません。ただ、会って話してみるまで相性が合うかどうかはなかなか分からないもの。相性を事前に判断する材料が限定されているが実情です。多少参考になるのが各法律事務所のホームページ等に掲載された弁護士のプロフィールや、考え方などでしょう。但し、鹿児島の法律事務所の半分ほどしか独自のホームページを持っておらず、しかも弁護士の人柄を判断できるような掲載内容になっていない、顔写真も掲載されていないホームページが多くあります。インターネットで集められる情報は、鹿児島にいる弁護士の2、3割程度しか反映していないと思った方が良いでしょう。

 

 

 

 

8.評判、クチコミについて

star弁護士に関する評判を知りたいとなると、インターネットの各種掲示板の書き込みや、あるいは知人友人からのクチコミに期待するのが通常でしょう。この点、amazon の書籍のように評価が数字で挙がっていれば評価しやすいのでしょうが、残念ながらそうはなっていません。

 

 

 

このうちインターネットの情報ですが、鹿児島の弁護士について適切に評価しているサイトは未だないと言っていいと思います。仮に個々の弁護士に関する評判が記載されていたとしても、インターネットの場合、情報の発信者が匿名である場合が多いでしょうから信頼できる情報とは言いにくいでしょう。実際に依頼した人から聞く「あの弁護士は良かった。」あるいは「駄目だった」というクチコミはある程度信用できるかもしれません。

 

“ある程度”と言ったのは、評判、クチコミを耳にしたときに気を付けることがあるからです。一つは、裁判等で相手方になった弁護士に関する評価です。例えば、相手になった弁護士について「あの弁護士は悪徳だ」と言う人がいたとします。そういう弁護士は味方に付ければむしろ頼もしい弁護士になるかもしれません。裁判等で自分が負けたときに、相手の弁護士を褒め称える人はあまりいないでしょうから。二つ目に、ほとんどの依頼者は、複数の弁護士、特に複数の法律事務所を比較したことがないという事実。評価というのは同じようなものをいくつか比較して初めてできるのではないでしょうか。そういう限界があることを頭に置いておく必要があると思います。